ABCのテレビ番組をLEDウォールと360度カメラを使った画期的なバーチャルセットで撮影

お気に入りのテレビ番組や映画の舞台裏を見てみると、グリーンスクリーンのような技術を利用したバーチャルセットで作られている有名なシーンがとても多いことに驚くかもしれません。

しかし、数多くのグリーンスクリーンを使った作業に取って代わって、バーチャルフィルムやTV制作の未来になると見られる、新しい技術があります。それはLEDウォールです。LED液晶スクリーンの巨大な壁を背景として、役者はその前でシーンを演じます。次第によく知られるようになってきたこのバーチャルセット技術のおかげで、特にテレビ局や映画会社は時間とコストを節約できる可能性があります。

米テレビ局ABCで最近放送された犯罪スリラー「Big Sky」では、現実のシーンは360度カメラのInsta360 Titanを使ってロケで撮影され、LEDウォールに映し出されました。背景映像をデジタル的に合成 (追加) していたこれまでのプロジェクトと比べると、今回はメジャーネットワークでは初めてとなる、360度映像とLEDウォールを使用して制作したテレビ番組となりました。

私たちはBig SkyでVFX監督を務めた Kent O’Connor氏に、このプロジェクトのためにバーチャルセットを製作した体験についてお話を伺いました。以下の動画でその概要をご覧いただけます。さらに詳しい内容については続きをお読みください!
※動画は日本語字幕をオンにしてご覧ください。

1. ご自身と過去の作品やプロジェクトについて簡単にご紹介いただけますか

Kent O’Connorと申します。VFX監督を務めています。最近のテレビ番組で私が携わったのは、ABCのBig Sky、A&EのProject Blue Book、そしてNetflixのAltered Carbonです。また、 Jurassic World: DominionやSonic、Midway、Skyscraperといったフィーチャー映画にも取り組んできました。

2. 「Big Sky」の一部をバーチャルセットで撮影することにした理由は? 

テレビ番組の制作時間は短いことがVFXへの取り組みを難しくしています。そのため、私たちはバーチャルセットを使うことで、撮影後の作業負荷を削減することにしました。そのための最も簡単な方法は、グリーンスクリーン主導の作業の代わりに、LEDステージを使ったバーチャルセット再生を用いることでした。

私たちはLEDステージ上に表示するシーケンス用の360度プレート (後から別の映像と結合する映像) をTitanを使って撮影しました。LEDステージと聞くと「マンダロリアン」を連想する人が多いと思いますが、私たちにとっては全くの別物です。マンダロリアンでは周囲の様子はデジタル的に作成されましたが、一方で私たちはTitanで実際に撮影しています。Titanは主に、車内のシーンで運転する映像を撮影するために使用しました。

セットでは、出演者を車の中に留めておいてその周りを膨大な数のLEDスクリーンで取り囲みました。360度映像はLEDウォールの背景画像として使いました。これにより節約できた多くの時間と費用を他のことに回すことができたのです。

3. VFXプレートの撮影に360度カメラを使用した理由は?

私たちが完全な360度環境を必要としていたのは、製作責任者がアングルを自由に変えられるようにしたいと考えていたからでした。また、自動車のリフレクションも必要だったので、あらゆる背景に合わせられるようにトップアングルとリバースアングルも必要でした。全ての基準が決まってしまうと、実現可能なソリューションは多くはありませんでした。

画質への要求を考えると、もしTitanがなければ、いろいろな方向に向けた9台の映画用カメラを一枚の鋼鉄板にボルトで固定して使うしかありませんでした。ご想像の通り、私たちがTitanを知った時はとても喜んだものです。9つの機器を繋げたものではなく単一機材の自由度を得たことは大きな強みでした。他のソリューションでは最終的にロケ地を選ぶまでプレートを撮影できなかったはずです。

Insta360 Titanをオープントップのスポーツカーに乗せて撮影。映像は後にバーチャルセットで使用される。

4. 映像がメジャーネットワークのテレビ番組の基準に達していることを確認するために、実際の制作前にどのようにしてカメラをテストしましたか?

Titanのことはよく知らなかったので、満足に使えるようになるまで映像を徹底的に検証する必要がありました。高さ13フィート、長さ約50フィートという非常に融通の効かないサイズのスクリーンを使おうとしていたのでなおさらでした。色深度 (色情報の多さと階調)、解像度、ゆがみ、被写体ブレ、手ブレ補正といった性能について検証しました。

しかし、ロケ地や好みは常に変化していたので、機材には順応性も求められました。長時間稼働可能で、使い勝手が良く、そして何よりも信頼性が高いカメラが必要でした。

夜間にInsta360 Titanを使って、バーチャルセットで使用する映像を撮影している様子。

5. Titanでもっとも気に入った点はどこですか?目標は達成できましたか

簡潔なUIにも感謝していますが、映像の総合的な品質には本当に魅了されました。処理能力は素晴らしいものでした。スチルカメラで360度映像を撮るのは簡単ですが、ドライビング映像は膨大な量のデータを処理する必要があり、Titanはその仕事を完璧にこなしました。

 色深度が10ビットであることも私たちにとって重要でした。出演者の後ろにLEDウォールが見えることの他にも、映像を使ってシーン全体を照らしていたので、色については鮮やかで正確なだけでなく調節可能でもある必要がありました。

使い方はとても簡単で、まさに直感的でした。使う前にマニュアルを読んでいたかのようでした。

新しいワークフローでしたが、Titanで撮影した映像をLEDウォールに表示し終えるまでには、これが正しい決断だったと誰もが確信しました。Titanを使うことでどれだけ多くの時間とコストを節約できたかをみんなが理解してくれたかどうか確信は持てませんが、そのどちらも達成できました。

6. テレビ番組のバーチャルセットでの撮影に関わる上での大きな課題は何ですか?

バーチャルセットのような新しいツールを導入すると、制約について誤解が生じることがあります。LEDセットの良し悪しは使用する映像とウォールのハードウェアによって決まります。ほとんどのパネルはカメラに近づけて使ったり鮮明な合焦点画像になるようには設計されていません。

しかし最も重要なことは、正しく理解するためには決断力がポイントだということです。優柔不断によって生じる遅延は、ワークフローに致命的な波及効果を及ぼします。グリーンスクリーンを使っていれば決断は後回しにできます (別の問題が生じますが)。しかしバーチャルセットでは、その日にすべて準備がそろうように完成した作品を配信するため、余裕を持って決断する必要があります。最も大きな課題は「後から直す」という考え方から離れて「事前に直す」考え方に変えることです。もしあなたのチームでこのように考え方を変えることができれば、あとは簡単です。

‘Big Sky’ return to ABC on April 13th. Check out a scene from the show here:


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